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だけど、俺の心臓はそれで早鐘を打つことは無かった。
「今まで通り、友達でいてくださいますか?」
「勿論。」
俺と佐紀は笑いあった。
落ち着いたところでデリバリー用メニューを佐紀に渡す。
手早く決めて、注文をした。生徒会特権であるデリバリーはとても便利で重宝している。
料理が届くまでのしばらくの時間、佐紀と話をした。
「佐紀の言う、オーラ。俺とあいつには糸として見えてるんだよ。」
手を掲げながら俺が言うと、佐紀は「赤い糸みたいな?」と返した。
「うん、色は違うけどそんな感じ。」
「俺の糸は?」
「伸びてるよ。だけどその先で色々な糸を巻き込んでごちゃごちゃになってる。」
「それを亘理君は元に戻してくれてるんですね。」
「うん、そーみたい。」
「先輩の糸は?」
佐紀に聞かれたが答えられなかった。
佐紀はそれ以上は聞かなかった。
「もし、嫌いな奴と糸が繋がっていて、自分が糸を切れるとしたら、佐紀だったらどうする?」
「うーん、悩みますね。」
「じゃあ、その相手に切るかって尋ねたとして、切って欲しいって言われたら切る?」
「そもそも、前提がおかしいですよ。」
「ああ、相手には見えないって事?」
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