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トレーに載せられてきた皿には真っ白なクリームのシフォンケーキが乗っていた。
「どうぞ。」
そう言って置かれた、暖かい紅茶とケーキ。
そっと透明なセロファンを外して一口、口に含むと上品な甘さが口いっぱいに広がった。
ふわふわとしていて、少しだけレモンの香りがして、疲れ切った体に染み込むように美味しい。
一口一口かみしめる様にして食べる。
暖かな紅茶もいい香りでとても美味しく感じた。
「美味しいです。ありがとうございます。」
ふと、顔を上げてお礼を言うと小西先輩と目が合った。
こちらをみて、笑顔を浮かべていた。
思わず持っていたフォークをギュッと握った。
何か変だ。なんでこの人はこんな顔で俺の事を見ているんだろう。
いたたまれなくなって、ケーキに集中した。
夕食もどうだと言われたが、断った。
こんな恨んでも、遣る瀬無い気持ちをぶつけられるのでもない状況には耐えられそうもなかった。
自分が何を言い出してしまうかわからなかった。
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