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1話
人との縁というのは不思議なものだ。
運命と呼んでも差し支えの無い繋がり、そんなものが世の中に本当にあるのか、はっきり言って俺は懐疑的だ。
だけど、その縁の証しとでも言わんばかりのそれが俺には見える。
小指から伸びる細い細い紐の様なもの。
所謂赤い糸と呼ばれるものなのかも知れない。
ただし、色は殆どのものが赤くは無い。
白い色をしている物が多いのだ。
俺はそれが昔から見えた。
それが珍しい事だというのは小学校に行くようになってから知った。
そもそも、うちの家族は全員見えていたからそれが普通だと思っていたのだ。
俺の家は縁結びで有名な神社だった。
この細い糸の様な糸を操る事が出来る一族として縁結びと、……それから縁切りそんな事を気の遠くなる様な昔から行ってきたらしい。
この糸にどれだけの力があるのか、俺には分からない。
でも、俺のこの小指から伸びる真っ白糸なが忌まわしくて仕様がなかった。
◆
寮の部屋から登校する前の日課になったこれを今日も行う。
左手の小指から伸びるその糸をそっと摘んで、部屋の内側のドアノブに一周、クルリとひっかける。
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