2話

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一旦寮の自室に帰り夕食を取る。 部屋を出る前に、朝の日課になっている糸をドアノブに掛ける作業を再度行った。 指定された通り、エレベーターに乗り込み専用のカードを操作パネルの上にあるスロットに通した。 便利な物だと感心する。 現実問題として、役員には大企業の御曹司や有名政治家の息子が就任する事が多い。 セキュリティは厳重にしておくべきなのであろう。 初めて役員専用フロアで降りた。 カードに書かれた部屋を目指しドアの前に立つ。 下を見ると真っ白な糸が一本床を伝ってのびていた。 それに微妙な気持ちになりつつもインターホンを押した。 直ぐに部屋の主がドアを開けた。 私服に着替えたらしい彼はどこかのブランドらしきTシャツとジーンズというラフな格好だ。 俺もTシャツ、ジーパンなのだがここまで違うのかと思う。 お互いに友達と認識しているはずも無く、どこかぎこちなく案内され、俺もぎこちなく室内に入った。 室内は、殆ど物が無く恐ろしく綺麗だった。 俺も比較的物が無い部屋だが、それでもマンガ雑誌だとか携帯ゲーム機だとか一般的な男子高校生の部屋にある物が雑然と置いてある。     
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