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しばらくすると、猿は一軒の店に入って行った。店と言っても日本家屋の古めかしい一軒家で、玄関の前にポツンと看板が置かれているだけであった。
看板には『湯屋』の文字。『ご自由にお入り下さい』と書き添えてある。
ご自由にと言われても、何の店なのか分からない。『湯屋』という店名から想像すると、入浴剤を売っている店かもしれない。
七海は大きく開いたままの玄関の前に立ち、室内を覗き込んだ。
清潔感のあるエントランスには石畳が敷き詰められている。室内を見回したが、猿の姿はどこにもなかった。
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