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僕の周りには何でもあった。古くなって捨てられた人形や、まだ使えそうなパソコン。他にもたくさんのものがそこら中に散らばっていた。だけど、誰もそれに見向きもせずに通り過ぎて行く。まるで何も見えていないかのように。
その中で、僕は僕の机と、教科書と、シャーペンと、ねだってやっと買ってもらったゲーム機を見つけた。僕は、自分がどこにいるのかを理解した。そして僕も、この忘れられたものたちと同じ存在なのだと分かった。
僕は存在という言葉を使った。皆が忘れているのに、存在していると主張するのは変な話だ。だけど、僕が僕を忘れられないから、僕は存在していると思うしかないじゃないか。
そうだろ?たった今僕の目の前を通り過ぎた、僕の好きな人。
彼女は高校生になっていた。少しシワとクセが目立ってきた制服をまとい、僕の知らない誰かと手をつないで歩いていた。
ああ、あの人は、忘れられなかったんだ。僕は静かに泣いた。この涙も、忘れることはきっとない。
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