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「俺はこれから益屋の走狗になって、外道を狩らなきゃならねぇ。それが約束だからよ。だが不思議と、後悔はねぇんだ。だって、貴様みたいな侍を殺れて銭っ子を貰えるんだ」
懐の匕首を引き抜くと、山県の首筋に当てた。思わず嗤いが込み上げて来た。そういえば、磯貝もこうして殺したものだった。
「お前は俺の女を殺りやがったんだ。文句は言わせねぇ」
彦蔵は満面の笑みを湛えたまま、首に当てた匕首の刃をゆっくりと引いた。
〔了〕
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