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ファンタジー・植物『食本植物』
ショクホンショクブツ
見るからに書籍類を並べられそうな形の巨大な花弁の植物。
実際に数十冊は並べられ、その重さを支えられるだけの頑丈さもある。
ただし名前の通り、この植物にとって本は養分の元なので、長時間本を入れたままにしておくといつのまにか吸収されてなくなってしまう。
しかし植物の種類によっては好みで吸収されるものと吸収されないもので分かれる。図鑑系、辞典系、フィクション系、さらに細かいジャンルごとに選り好みするものもある。
そもそも文庫本しか入らないサイズもある。
頻繁には読まない本がいつの間にか消えていても気にしない系統の人たちを中心に流行している。
しかし、とある愛書家に便利でおしゃれなインテリアとしてプレゼントされた本棚が実はこの食本植物で、大事にしていた本が大量に消失してしまったというエピソードもある。
本物か、それに似せて作られたインテリアかを確認するために白紙の手帳を一冊だけ入れてひと月ほど置いておくという方法が推奨されている。
何も入れずに水もやらなければ本物は萎れてくるが、これはこれで使い道もあるのでさすがにもったいないし可哀想なのでは、という風潮。
断捨離が苦手な人への贈り物に小さめの花のものがよく選ばれる。
小説類を大量に摂取した食本植物は言語を理解するようになる、という都市伝説がまことしやかに囁かれている。
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