メルヘン・気象現象『クリスマス現象』

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メルヘン・気象現象『クリスマス現象』

クリスマスゲンショウ 温暖な気候の丘の国で、冬の特定の日にのみ現れる気象現象。 前日までは何の前兆もなく、日付が変わると同時に様々な変化が現れる。 広葉樹が針葉樹に変わり、風はなくなり雪が降り、国中に鈴や鐘の音が断続的に響き、国からぎりぎり見えるくらいのところでトナカイが歩き回る。そして家のどこかに箱が届き、中には主に菓子が入っている。 国では前日にはこの日を迎えるための催しが執り行われる。 日が暮れるくらいの時間から日付が変わる前までの時間帯が主で、いくつかの場所に国民が集まって食事会や祈りを捧げて過ごす。 国民にとっては信仰心を呼び起こされる日であるが、厳粛というよりは静かに楽しむという感覚。 当日の昼の現象は場所によって異なる部分がある。 神話を映し出す吹雪を見られる洞穴や、空に十字型の光が浮かんで見える場所、枝葉が輝いて見える針葉樹など。 昼間は雪は降り続いてはいるものの、明るい。 日が暮れてからは雪がぼんやりと光を放ち、トナカイや鈴の音は徐々に遠のいていく。 そして日付が変わると雪は止み、光も消えて、朝になるまでに雪のほとんどは溶けてなくなる。 針葉樹は元通り広葉樹になり、葉が落ちる。 ほとんどの場合は翌日は快晴。この現象による事故もほぼ起こらない。 国民はその日を神の祝福を受けられる日と考えている。 届いた菓子は年をまたぐよりも前に食べきってしまうのが慣例。
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