ボウル足湯

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 あれはちょうど4年前、上京した年の冬のこと。その年最後のアルバイトを終えた私の身体は、最寄りの駅から家までの10分の間ですっかり冷え切っていた。山奥の実家に比べれば幾分暖かいけれど、それでも東京にだって冬はある。私はいつも通り、アルバイト先で売れ残った鯛焼きを夕飯の代わりに食べようと、電子レンジに放り込んだ。その間にヤカンにお湯をわかす用意をする。まもなくするとレンジが出来上がりを知らせてくれ、扉をあけた。うん、やっぱりうちの鯛焼きは40秒がベストだ。私はホカホカになった鯛焼きをほおばりながら今度はテレビのリモコンを探した。テレビをつけた瞬間、バラエティー番組の笑い声が小さい部屋中に広がる。少しだけ一人の寂しさがまぎれた。しばらくするとヤカンがわめき始めたので、いそいで私はコンロの火を消しにいく。お気に入りのマグにお湯を注ぐとそこらへんにあったティーパックを投げ入れた。一口飲むと寒さが幾分やわらぐ。でも、足先がまだ冷たかった。
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