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こんな時、お風呂に入ることが出来ればと思う。思うけれども、入れない。私はふぅっとため息をつくと、ベットに腰をおろした。瞬間、カーンと足先が何かに触れた。ん?なんだろう。床に目をむけると、そこにはステンレス製のボウルが転がっていた。ああ、そういえば、学校から持って帰ってきた道具を片付けていなかったっけ。その時私はひらめいた。マグをテーブルに置いて勢いよく立ち上がると、ヤカンの中のお湯をボウルに注いだ。石膏の粉を混ぜた時にこびりついた白い汚れが ボウルの縁にちらほらと見える。でもそんなの気にしない。私は人差し指を少しお湯の中に入れて温度を確認した。うん、ちょうどいい塩梅だ。勢いよく靴下を脱いで、ゆっくりとつま先から足を入れた。その瞬間、じわじわと身体の内面から温かさがこみあげてきた。くぅぅぅぅ、この瞬間を待ちわびていたのだ。
あれから4年。私は無事大学を卒業し、ようやく仕事にも慣れました。ボウル足湯は毎週金曜日のご褒美です。
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