prolog

1/1
前へ
/3ページ
次へ

prolog

「私ね、死んだら生まれ変わって猫になるの」 白いベットに横たわりながらそう俺の幼馴染みは言った。彼奴は何かのガンになったらしい。詳しく知らないのは俺が何のガンなのか問いかけても「すぐ治るから」とはぐらかして答えてくれないからだ。 嘘をつかないと約束しあっていた彼奴の言葉は信じていた。彼奴が嘘をつくのはありえないと思ったから、すぐ治ると信じていた。 でも、治らずに病状は悪化していくばかりだった。そしてついには集中治療室に移動してしまった。ガラスの向こうには目を瞑り、もう何日も眠っている彼奴が見えた。 いつ治るのだろうか。そう頭の中でずっと考えていた。 それから暫く経ったある日。彼奴は死んだ。 彼奴の命日は、雨が降っていた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加