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prolog
「私ね、死んだら生まれ変わって猫になるの」
白いベットに横たわりながらそう俺の幼馴染みは言った。彼奴は何かのガンになったらしい。詳しく知らないのは俺が何のガンなのか問いかけても「すぐ治るから」とはぐらかして答えてくれないからだ。
嘘をつかないと約束しあっていた彼奴の言葉は信じていた。彼奴が嘘をつくのはありえないと思ったから、すぐ治ると信じていた。
でも、治らずに病状は悪化していくばかりだった。そしてついには集中治療室に移動してしまった。ガラスの向こうには目を瞑り、もう何日も眠っている彼奴が見えた。
いつ治るのだろうか。そう頭の中でずっと考えていた。
それから暫く経ったある日。彼奴は死んだ。
彼奴の命日は、雨が降っていた。
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