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魔王は何度もしつこく俺に猫を押し付けてくる。いい加減しつこいのでバンッ!と扉を閉めて鍵を占めてやった。
「ちょっと!!」
「絶ッ対開けねぇ!」
ぜぇ、はぁ、と両者とも息を荒くしながら1枚の扉を挟んで怒鳴りあいをする。魔王の方が折れたらしくリビングへ戻っていった。やっとか…とパソコンがあるテーブルへ向かったが、それはすぐ何かのモサモサした小さな暖かい物体に邪魔された。まぁ見事足に引っかかり転んでしまった。何故魔王の腕にいた猫がここにいるんだ…。猫は「ミャー」と鳴いて転んだままの俺の顔を舐めてきた。
「……くすぐって…」
小さな舌が一生懸命怪我を心配するように舐めてくるのだからくすぐったくて笑ってしまう。そして猫は俺がテーブルの上に置いておいた電源を入れたままだったスマホを触る。
確かアルバムを開いていたような…
「ミャーミャー」
何かを伝えたそうに画面をぽんぽんと肉球で叩いている。画面を見ると俺と、元気よく笑うもうこの世にいない彼奴がうつっていて、猫は元気よく笑う彼奴の方を叩いていた。
偶然、だろうか。その時、彼奴が言っていた言葉を思い出した。「私ね、死んだら生まれ変わって猫になるの」。もしかしたら、と猫と写真を交互に見る。すると猫は「ミャオン」と嬉しそうに俺の足にすりついてきた。
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