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「俺の家の方が近い。来い」
それだけ言うと、晃は強引に結花を引っ張るとタクシーに押し込んだ。
「何……を言って?」
怒ったような晃の顔を見て、結花はビクッとして何もいう事ができなかった。
無言のまま、家に連れてこられタオルを渡され、シャワールームに入れられた。
「主任……なに?」
「着替えはここに置いとく。早くしろ。風邪ひきたいのか?」」
低く静かに言われ結花はそれ以上反論できず結花はシャワーを浴びた。
置かれていたスエットに着替えるとおずおずとリビングに足を踏み入れた。
そこには濡れたからであろう、ネクタイを外しシャツのボタンが半分ほど外された状態の晃がいた。
ビールを片手に結花をじっと見ていた。
その妖艶で男の顔を初めてみて結花はドキッとするのを通り越して、恐怖を覚えた。
「着替えすぐ乾きそうなので……乾いたら帰ります」
リビングの入り口から結花は晃に声を掛けた自分の声が、自分のものでないような気がした。
喉が張り付くような感じがし、ゴクっと唾液を飲み込んだ。
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