お願い4 それが答えですか?

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「まあ、モテない事はないかな。でも結花ちゃんには特別に優しさ2割増しで対応キャンペーン中だよ」 口に手を当ててアイドルさながらに行った町田に結花はクスクス笑った。 「ありがとうございます。」 結花はビールのグラスを持つと、少し口に含んだ。 「これからどうするの?告白しないの??」 ナッツの皮をむきながら表情を変えずに聞いた町田の言葉に、結花は小さく首を振る。 「どうして?」 町田も淡々と尋ねた。 「全然見込みないのに言って、仕事の空気悪くしたくないですし、私はアシスタントなので。絶対に私主任と普通にできなくなると思うんです。だから……言いません」 結花のぎゅっと握った手を町田は見ながら黙って聞いていた。 「なので、町田主任……絶対に言わないでもらえますか?」 結花は懇願するように言った。 「あたりまえでしょ。言うわけないよ。人の気持ちを勝手に」 町田はそんなこと念を押すまでもないでしょと言わんばかりに結花を見た。 「ありがとうございます」 結花はほっとすると同時に、この恋を終わらす決心をした。
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