お願い5 今度は俺が

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フロアに恐る恐る足を踏み入れ、チラッと晃の席を盗み見ると、案の定いつも通り仕事をしている姿が目に入った。 平常心を装い、みんなに挨拶をすると、自席に結花は座った。 届いてたメールや未処理のFAXを手早く確認し、仕事に集中していたのに… 「小松」 その呼ばれた声に結花はビクッとした。 少し遅れて返事をして、晃の席の前まで行くと、資料を渡された。 「これ、今日中。できるか?」 結花は資料に目を落としたまま、晃の顔を見ることなく、『ハイ』とだけ返事をすると、席に戻った。 (あからさまに不自然だよね) 自分でもそのことは解っていたが、今日だけはどうしても普通にすることなどできなかった。
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