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お願い5 今度は俺が
その日結花は晃にLINEをする事をやめた。
一方通行の、見込みのない恋。
(もう疲れちゃったな……)
そう思うと、結花は真っ暗な空を見上げて、ひとしきり涙をながした。
結花は次の日足取り重く会社に向かっていた。
今にも振りそうな空を見上げた時に、前に見慣れた後姿を見た。その横にいた見たくない人も。
見なくても済んだはずの光景をみてしまい、
(ついてないな)
そう思い結花は小さくため息をついた。
本来もっている結花の性格はどちらかと言うと、そんな明るい性格ではない。
一度閉じてしまった扉と気持ちはどう頑張っても、今目の前にいる人に声を変える勇気は出なかった。
差をつめないように、結花はゆっくり歩いていた。
しかし……。
不意に大脇が振り返り、結花と目が合うと、隣の晃の腕を引っ張った。
(振り返る?嫌だ)
結花は、わざと横を向くと踵を返し元来た道を引き返していた。
(何してるんだろう。遅刻するよこれじゃ……)
しばらく引き返した後、諦めたように結花は元来た道を会社へと向かって歩き出した。
そこには、もう2人の姿はなく、結花は安堵する。
(仕事に支障をきたしたくないって言って、私こんなんで大丈夫?)
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