カイブツの王女

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 新たな王国は、王様と国民が一緒になってより良くしようと頑張っています。自由と平和を求めて、二度とかつての王国にならないように。あれから早くも二年が経とうとしています。  今年は王子の六度目の誕生日。  リーシャと同じ六歳になる年です。  私と全く逆だな、と思いました。待遇も運命も、全く逆だ――――。  きっとどんなに頑張っても、自分はあの世界に戻ることはできないのだと、少女は残酷な運命に気がついていました。  人は少女をカイブツと呼びますが、彼女の心は他より何倍も、人間であったのです。  助けが来ないことも、幸せなどないことも、みんなリーシャには解っていたのです。  動く度に引きずる、重くて大きい尻尾。これがカイブツになって一番嫌な部分でした。キツネのようなふさふさしたものではなく、見るからに気味の悪いギザギザがついています。牙のように、口のようにも見えます。  まるで、重い鉛のような罪を負わされているようで。    夕暮れ、紫に染まる空が遠くに見えます。木々の間からほんの少しだけ覗く外の世界。  風に揺れる木の葉、香る野花。  もう一度あの世界(くに)で生きたい。  ――――刹那過った感情に、自分の醜い姿が規制をかけました。
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