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何をされるのだろう、何が始まるのだろう……。不安と恐怖に満ちて、身体を固くします。
「二度とこの町に悪魔甦らぬよう祈願し、邪悪の象徴として心に刻みなさい。この怪物は悪魔の末裔、従って全てにおける厄となるだろう」
衛兵に囲まれながらやって来た、新たな王国の王がそう言いました。
たちまち、殺せ、殺せと声が上がります。王様は答えます。「私たちは長く苦しめられた。それゆえ、この怪物には永遠の罪が必要なのだ」
それから丸一日、リーシャは檻の中で過ごしました。カイブツとしてその姿を晒されて。
皆に暴言を吐かれ、暴力もふるわれました。棒で叩いたり、汚いゴミや動物の死体まで投げられました。
人は日が暮れるにつれて少なくなってゆきました。そして、噴水の流れる音だけがずうっと続きます。
タッタッタ、と、小さな靴音が聞こえます。子供でしょうか、暗がりに見えました。綺麗な金色の髪、青緑の瞳。こちらを不思議そうにうかがっています。
「どうしてそこにいるの?」
リーシャは言葉の代わりに、悲しい音を奏でました。
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