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毎日が暑い。
暑くて暑くて、私は、温度を調整してくれるブレスレット型の魔術具が手放せない。
ミルク色のうさぎの耳に、純白の翼を背負った私、レイラ・ハスフェルトは、毎日の暑さにうんざりしていた。
長く、ふんわりとした銀髪も鬱陶しくて切ろうとしたのだけれど、それはこの国の王様であり、私のお姉ちゃんであるシェラ・ハスフェルトに止められた。
曰く、『その綺麗な髪を切るなんて、もったいないっ!』だそうな。
瑠璃色の瞳で必死に見つめてみたものの、お姉ちゃんの主張は変わらず。
それどころか、風の将パーシーや、水の将フィスカ、大地の将マディン、炎の将アシュレーまで味方につけて、私を必死に説得してきたため、髪を切ることは早々に諦めた。
国の代表格が、私の髪ごときでこんなに必死にならなくても、と思わなくもなかったけれど、きっとお姉ちゃん達には重要なことだったのだろう。
私としては、パーシーみたいな短い髪が理想だったのだけれど、きっとそれをゆったら不味いということくらいは分かるので、お口にチャックだ。
「ふゆぅ、魔術具のおかげで、今は暑くないけれど……日差しを見るだけでなんだか暑い気がするの」
自分のために用意された部屋で一人ごちる私は、腕にはめたブレスレットをぼんやりと眺める。
このブレスレットのおかげで、私は暑さに倒れることなくこの時期をやり過ごせているのだけれど……正直、このブレスレット自体に耐久性はほとんどない。
何かの衝撃があれば、簡単に壊れてしまいかねないのだ。
「次は、戦いや修行の時でも使えるようにしておかないと……」
一々戦いの度、修行の度にブレスレットを仕舞うのは面倒だし、何よりブレスレットがない間は暑い。
つまりは、早急に改良すべき事案だ。
「でも、今はやる気が起きないのー」
ただ、最近はあまりに暑すぎて、魔術具の研究ができないでいる。
理論を固めるところまではできても、実際に使うとなると今使っているブレスレットを外して検証しなければならないため、手を出すのが億劫なのだ。
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