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「ふゆっ、お仕事は今はないし……今日はこのままのんびりしようかなぁ」
少し前までは、ヴァリスの里との交流に関するやり取りで忙しかったため、その反動なのか、ここ数日は部屋から出ていない気がする。
たまに出たとしても、訓練所で氷のお家を作ってそこに籠ってしまっていた。
今や立派な引きこもりだ。
けれど、これだけ引きこもっているのは、ただただ忙しさの反動や毎日の暑さが原因というだけではない。
「……お姉ちゃん達、まだ忙しいのかなぁ」
私が忙しくなくなったのと入れ替わりに、今度はお姉ちゃん達の方が忙しくなっていた。
このバルスフェルト城にいれば、毎日誰かしらに会えていた私は、途端に誰にも会えなくなる状況となってしまって、引きこもった。
……要するに、構ってもらえなくなって拗ねたのだ。
「リオーク聖教国の祭事、かぁ」
お姉ちゃん達が忙しくなった原因はお隣の大国、リオーク聖教国で行われる創世祭だ。
各国の代表を招くその創世祭に、お姉ちゃんももれなく参加することとなっており、その打ち合わせやら日程調整やらで大忙しなのだ。
「ふゆぅ、お姉ちゃん、会いたいの……」
大切な行事であることは知っていても、お姉ちゃん不足はきつい。
私はついつい本音をもらして涙目になっていると、ふいに、覚えのある気配が部屋の前に立っていることに気づいた。
「レイラ? ちょっといいかしら?」
お姉ちゃんの声!?
「ふゆっ、だいじょーぶなのっ」
久々に聞くお姉ちゃんの声に、私のテンションはうなぎ登りだ。
すぐさま扉の前まで走って、入ってくるお姉ちゃんを出迎える。
「あぁっ、会いたかったわ。レイラっ。ギュー」
「ふゆっ、私も会いたかったの!」
そうゆって、私はお姉ちゃんの力強い抱擁を受けた。
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