ふわふわり

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ふわふわり

 三十五歳、独身。  一昔前であれば、婚期を逃した行き遅れなどと言われたかもしれない年齢だが、今は同じ年の未婚者も少なくない。  母親が死んだときに、家族四人で暮らしていたボロ家を、独り身だという理由で貰い受けた。 二階建ての、私の職場兼住居だ。  一階は、父親が開いた雑貨屋から、自分好みの喫茶店に改装した。  席数は少ないが、小さいながらもカウンター席をつくり、雑貨屋だった時の棚を活かして、びっしりと本を並べてある。  中古本の買い付けもするし、置いてある本が気に入ったら、購入することも出来る。  私の蔵書が部屋に納まりきらなくなっていたので、一石二鳥だ。
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