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片づけを済ませて二階に上がると、賑やかなゲームの音楽が聞こえてきた。
一緒に暮らそうと切り出したのは、さて、どちらからだったか。
忘れてしまったけれど、彼女に言われた言葉だけはよく覚えてる。
『ゆうちゃんは、誰かの世話をしてないとダメなんだよ。世話好きだから』
そう宣言した友人は、家事全般壊滅的なため、同居しても風呂を沸かす以外はほとんど何もしない。時折、洗濯機を回してくれるけれど、洗い終えた洗濯物を干すのは嫌いだという。乾いた洗濯物をたたむのも、嫌いだそうだ。
それでもケンカすることも無く過ごしているということは、彼女の言ったことは間違ってなかったんだろうなと思う。
食事を作るのも、部屋を掃除するのも、日々を過ごすのも。
自分一人のためじゃないと思えば楽しかった。
同居を始めて、ちゃんとご飯を作って、誰かと会話をして笑って、お風呂に入ってのんびりすると、ちゃんと生きてるな、と思える。
ひとり過ごしていた時に、時折感じていた不意に落ち込む様なもやもやは、きれいさっぱり洗い流されて消えていた。
「あ、お風呂沸いてるよ。さっき音楽なってたから。ゆうちゃん先どうぞー」
「いいの?」
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