三、相方は純情ボーイ

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 五時半を過ぎた辺りから廊下がやけに騒がしくなってきた。超気が進まない新入生歓迎会へ駆り出される同級生たちがワラワラと自室から出てきてるんだろう。  あぁーあ、めんどくさいことになっちゃった。  せっかくルームメイトになった凌君が気を利かせてくれたってのに……。わざわざ点呼とかする? しかもあんな野獣使ってさぁ。  きっと毎年、俺同様におさぼりを考えるやつがいるってことなんだよ。それはつまり、歓迎会なんか不要って考えるのは俺だけじゃないってこと。  ココで生活してれば必要な人間の顔と名前ぐらいおのずと見えてくるだろうし、わざわざ集まんなくってもね? それこそ、寮内でのルールや、詳細は事前に説明会で散々聞かされているわけだし。ホント無意味だよ。歓迎会なんて。  そんな事を考えながら、一階の食堂へ他の一年生群に紛れながらのご到着。入口には余ったカレンダーを貼り合わせたような大きな紙に、デカデカと黒一色で、『新入生歓迎会』と大雑把で無愛想な文字が書かれてある。  全然歓迎ムードじゃない。道場かなんかかよ。  親と先生に勧められるがまま入ったこの学校は男子校。しかも全寮制。うるさい親の干渉から逃れられるし、進学率も高い名門校で、一応自分なりにもいろいろ考えて決めたものの、華も色もないまさに男の園な景色。  すでに俺のテンションダダ下がりだわ。
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