四、即興一発芸

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「男子寮の一番の悩みと言えば、ズバリ! 女子が居ないことですが。これはまぁ、おいおい、自然に解決していくのでみんな安心して下さい」  変な言い回し。夏樹先輩の言葉に他の一年生みんなも不思議そうな顔をしてる。要は女子がいない環境も慣れていくってだけなんでしょうに。  高田先輩が紙コップを各テーブルへ配ってまわる。 「じゃ、乾杯して飯にしよう。腹減った。なんか質問あるやつは食いながら聞いてくれ。乾杯用意出来たか?」  みなそれぞれ、ウーロン茶かジュースかどっちか入れて手に持ち構える。高田先輩の「乾杯」の掛け声にコップを掲げた。 「乾杯……」  凌君が紙コップをちょっと上げて、俺にチョンとぶつけてきた。 「あ、乾杯」 「いっぱい食べてね~」  森村さんが大皿からラップを剥がし回収していく。「ども」と俺はペコリと小さく頭を下げた。森村先輩は優しそうな眼差しでウンウンと頷いて微笑んでくれる。  和み系な森村先輩を見ていると、寮内はアットホームな雰囲気なのかなって気がする。そんな森村先輩に対して、なぜか凌君は妙に冷たい眼差しを向けていた。  ちょっと……まさか本気なの? さっきの寸劇キスで嫉妬? いやいや、止めましょ? 一応ルームメイトなんだから。 ……と、ふたたびの予感を否定しつつ、サンドイッチにパクついた。  サンドイッチの具はソースカツだった。冷めてるのに肉が柔らかくて美味い。大皿に目を向けると、おにぎりもえび天が挟んであったりと結構豪華。唐揚げもあるのに、流石男子寮といった所か。
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