一、一〇六号室

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 宮坂はPCやらの機械のセッティングに取り掛かってる。 「…………」  ま、いっか。俺の事は眼中にないみたいだし。  そう判断して一個目のガムテープを剥がす。中身は服がギッシリ。ベッドの下のタンスにそれを全部入れる。必要最低限な衣類だけを厳選して持ってきたつもりだったけど、スペースは全然足らなかった。  ベッドの上にハンガーを掛けるパイプが一本備え付けてある。きっと制服を掛ける為にあるのだろうけど、パイプの上に棚を作っていいだろうか……。  チラッと宮坂を見ると、もう全部セッティングも終了したようだった。ひと仕事終えたとばかりに手を腰に当て、腰を伸ばしている。  まぁ、服はいいや。とりあえずダンボールに入れておこう。  もう一個のダンボールを開ける。こちらには本がギッシリ。本棚へその本を一冊一冊移動させる。こちらも持ってきた本で、本棚の七割が埋まってしまった。  この本棚の上に、もう一個本棚を置いたら、地震の時に危ないかな……。突っ張り棒があれば大丈夫かな?  今のところは大丈夫だけど。いずれスペースが足りなくなるのは目に見えていた。  ラストのダンボール箱を開ける。その時、宮坂が椅子に後ろ向きにまたがり、背もたれの上に腕を重ね顎をのっけてこっちを見ているのに気づいた。  う……もの凄い見てる。  緊張しつつ、気づいてないフリで、ダンボール箱からシューズとラケットを取り出した。それから小さな金色のトロフィー。俺の宝物であり、ささやかな自慢の品。  どこに飾ろうかな。やっぱ机の上がいいか……。  トロフィーを机の上に置いた。
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