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最初の記憶
水浸しになったおばさんが、洗濯機の前に倒れ込んでいた。『最初の家』に備え付けられていた洗濯機が故障し、洪水のように水が溢れ出したのだ。大量の濁った水をまともに浴びたおばさんが、その後どうなったのか、全く覚えていない。救急車が来たかどうかすらわからない。生き延びたか、死んだかも、わからない。ただ一つ確かな記憶は、僕が耳に包帯をあてていたということだ。散髪屋のおばさんのミスで耳を傷つけられたのである。
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