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(そういえば……)
あることをふと思い出した愛理は、食べる手を止め、
(あれって、何だったのかしら?)
バクバクとバターたっぷりトーストを頬張っている妹を見つめた。その視線に気づいた亮は、不思議そうに、
「どうしたの?お姉ちゃんーー」
その時、つけっ放しのテレビから、緊急ニュースが飛び込んできた。
「ガスタガ王国のレイト王子が、昨夜行方不明となり……」
姉妹はニュースに釘付けになった。ガスタガ王国といえば、世界屈指の石油王国だ。王子がとてもイケメンで、最近よくテレビに出ていた。彼がいなくなったことに、世界中がびっくりしているようだ。
「どうしたのかしらね?」
「そうだね」
イケメンに目のない愛理は、とても心配になり、亮は天気予報見たかったなと思っていた。二人はぼんやりテレビを見つめていたが、愛理がふと画面の時計を見て、
「あら? もう、こんな時間」
姉につられて亮が顔を上げると、八時少し前だった。登校時刻は、八時二十五分。割とギリギリだ。
「わっっ、本当だ!!」
彼女は慌てて椅子から立ち上がり、
「ご、ごちそうさま」
リビングから出て、急いで身支度を整え始めた。
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