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美鈴は小さな包み紙をカバンから取り出し、
「今日、誕生日でしょ?」
「わぁ、覚えててくれたんだ」
飛び上がらんばかりに喜んだ亮に、ちょっとあきれ顔の美鈴。
「あんた、喜びすぎ」
亮は親友の言葉など気にかけず、包み紙に手をかけた。
「ねっ、開けてもいい?」
「いいよ、気に入ってくれるといいんだ──」
美鈴が言い終わらないうちに、亮はプレゼントを開け出した。
(何かな? 何かな?)
先走りの親友に、美鈴は少しだけ微笑む。
(あんたらしいね、その行動は)
彼女からのプレゼントは、スミレやマーガレットなどを綺麗に押し花にした、しおりだった。それを手に取り、亮は飛び切りの笑顔で、
「うわ、すごく綺麗!ありがとう!」
その顔を見た美鈴は、ほっとし、
「よかった。あたしも本読む時、よく使うんだ」
ふたりは微笑み合って、靴を脱ぎ始めた。
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