そんなものは飾りにもならない

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 入浴、という文化の成り立ちなど知らない。ただ身体の清潔を保つための行為だったのかもしれないし、今日のように友好を深める場だったのかもしれない。けれど進藤にとっては静寂の中安らぎを得る場が風呂であり、入浴という行為だ。  だから、どんなに素晴らしい景色も、広々とした空間も重要ではない。それどころか他に誰かがいれば静寂は破られ落ち着かないし、広い空間など虚しいだけだ。温泉の効能は確かにありがたいものではあるが、それだって市販の温泉の素で代用もできる。景色も広さも無用の長物。慣れ親しんだ場所で一人になれればいい。  つまりは我が家の風呂が、一番幸せになれるのである。
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