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「身長と髪型が同じでカフェから出てきたら間違うだろ!」
2人は私の目の前で私の存在を忘れたかのように揉めだした。
確かに私は相沢さんと身長も同じくらいだし、髪の長さも同じ肩につくくらいで髪色も似ている。
さっきは事務所の鍵を店に返したあとだから店から出てきた。龍峯さんはそこから私を追ってきたのだろうか。
「学生かどうかは微妙だったけど絶対そう思うだろ!」
この言葉に体がぴくりと反応した。確かに私はもう24歳だし学生に見えないとは思う。けれど『学生かどうかは微妙』だなんて言われたら老けていると言われたような気がしてしまった。
龍峯さんに対して嫌悪感がじわりと湧き始めた。
どうしたらいいだろうと2人を見ていると、月島さんが私の存在を思い出したのか再び謝罪をしてきた。
「人違いでお時間とらせてしまって申し訳ありませんでした。実はこの龍峯の個人的なお願いを相沢さんに引き受けていただきたかったのですが」
「婚約者のふりをしてほしいということですか?」
「もうお話ししたんですね」
「そのことはさっき俺が言ったよ」
龍峯さんはテーブルに頬杖をつくと気だるそうにコーヒーを飲んだ。先程とはまるで違う態度に私も居心地が悪くなる。
相沢さんではなかったことが残念なのだろうけど、間違われた私だって今困っているのだ。反対に月島さんは始終申し訳なさそうな顔をしていた。この人は顔を歪めてもうっとりするほどかっこいい。
「あの、どうして相沢にこだわるんですか?」
「ああ、それはこの間のカフェでの揉め事を見たからです。三宅さんもあのときお店にいらっしゃいましたよね」
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