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24歳の冬。その年の年末に出版された私の小説は、想像以上に人気が出た。
「佐倉さん、これは凄い勢いですよ!このままいけばドラマか映画になるかもしれません!」
田口さんの興奮ぶりからすると、その言葉は冗談ではないようだ。
私もすごく嬉しかったが、尚子が小説のことを知ったらどう思うかが気になった。
というのも、この小説のストーリーは私と尚子の過去のことを基に書いたものだったからだ。
もちろんそっくりそのままではなく、色々と脚色した部分もある。
しかし尚子が読んだらたぶん私たちの話だとわかるだろう。
嫌な気持ちにさせてしまうかもしれない…。
そう考えると、嬉しい気持ちから一転、悲しい気持ちでいっぱいになった。
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