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部屋のドアが遠慮がちに開いた。
「失礼します。」
息が、止まる。
そこにいたのは、尚子だった。
なんで?
本当に尚子?
どうしてここに?
「ご存知だと思いますが、こちら、歌手のNaokoさん。実はこの映画の主題歌を歌ってもらうことをもう決めてまして。それで今回原作者のナツさんに会っといてもらおうと思ったんですよ。できるだけ早いほうが曲作りも余裕ができていいですしね。」
監督が丁寧に紹介してくれるが、まるで整理がつかない。
「きゃ~Naokoさんですよね!?すごいファンなんです~!」
こはるはテンションMAXだ。
「ほんとですか?ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。」
「はっ、すみません。つい興奮してしまって…私ヒマワリ出版社の田口と申します。そして、こちらが原作者のナツさんです。」
こはるが私を紹介し、尚子の視線が私に移った。
「初めまして、Naokoです。よろしくお願いします。」
私は無言でぺこりとお辞儀をした。
一見すると無礼な振る舞いだが尚子は気にする様子はなかった。
こんな完全防備してるんだから、私だって気づくわけない。
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