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尚子、少し痩せた気がする。
仕事が忙しいせいかな?
監督は退室し、私とこはると尚子の3人で対談が始まった。
「Naokoさん。今回は映画の主題歌を引き受けてくださってありがとうございます。って監督でもない原作者でもない私が言うのもおかしな話かもしれませんが。」
先程と同様、こはるが話を進めてくれる。
こはるからのお礼と合わせて私もまたぺこりと頭を下げた。
「…ちょっと、ナツさん、さっきから一言も話されないですけど、どうしたんですか?」
【ごめん、急に声が出なくなって】
私はスマホの画面でこはるに急いで伝える。
「はぁ?声が?嘘ですよね?」
【頼む、私の運命はあなたにかかってる】
「はい?ちょっと意味がわからな…ふごっ」
スマホで伝えるのももどかしく、私はこはるを部屋の外に連行した。
私しか分からないこの状況を、ましてや鈍感なこはるが悟ってくれるはずがない。
部屋の中に聞こえないように小声で話す。
「今日ご飯奢るから、お願い私の言う通りにして」
「な~んだ声出…むがっもごもご」
私からの殺気が伝わったのか、こはるは急に大人しくなり、コクコクと頷いた。
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