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「暇でーす! というか、今のは単なる照れ隠し」
「か、勝手に決めないでよっ!」
「あ、初めて表情と声が一致した!」
「……」
こうなるともう、何も言えなくなってしまう。何を言っても気持ちを見透かされるようで、何を言えばいいのかわからなくなる。
私が黙りこくっていると、鷹藤君は小さく溜息をついて、またペコリと謝った。
「ごめん、調子に乗った。でもさ、声でいろんな感情がわかるんだってことにすごく驚いて、ちょっと感動して、オレ、ずっと耳をすませて高梨さんの声聞いてた」
「ぬ、盗み聞き……!?」
「うわ! そっか、そういうことになるか! わーっ!! ごめん、そんなつもりじゃなかったけど、ほんとごめんっ!!」
何度も何度もペコペコと頭を下げる鷹藤君を見て、なんだかおかしくなってしまい、私はつい笑ってしまった。
すると、鷹藤君は上目遣いでこっちを窺ってきて、その姿が何となく子犬のように見えてしまい、また笑いが込み上げる。
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