Love Trap

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 こういう時ってなんだ、それ!   確かに、授業を抜けられるのは羨ましいかもしれない。  でも、実験を抜けるのはとんでもなく面倒くさいんだぞ! と心の中で悪態をつく。  普通の授業なら、後でノートを写させてもらえばいい。しかし、化学の実験は放課後にもう一度やる羽目になるのだ。  何故なら化学教師はうちのクラスの担任で、化学バカとも言える先生は後でノートを写すなどといった行為を許さない。  実際に実験を行ってみて、その結果から様々なことを考察するのでなければ実験の意味がない! と豪語するのだ。  先生の気持ちも理屈もわかるが、こちらとしては面倒なことこの上ない。  しかも私は、授業の最中に行方不明になっている鷹藤君の巻き添えなのだ。  鷹藤蓮──彼は、うちのクラスの問題児だった。
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