Love Trap

「逃げないでよ。いっつも不思議でさー。先生だと結構時間稼げるんだけど、高梨さんが来ちゃうとダメ。最近はどんどんタイムが縮んできてるし、オレ、逃げ切れない」

　ダメとか言いながら、なんでニコニコしているのか意味不明。
　でも、この距離を何とかしたくて、私は早口で説明した。

「鷹藤君、いつもデジカメ持ち歩いてるよね。何気ない感じで写真撮ってるけど、前に鷹藤君が撮ったクラス写真を見て……本格的にやってるんじゃないかと思った」
「ふぅん、それで？」

　なんでそんな嬉しそうな顔するの？

「雨の日は空き教室で窓越しの景色撮ってたし、雨上がりには裏門の大きな木のところで葉っぱの水滴撮ってたし、きょ、今日はすごくいい天気だし、空の青が綺麗で、雲がゆっくり流れてて……空の写真が撮りたいんじゃないかと……」
「すげぇ!!」