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「あーあ、結局こうなってしまった……」
コンビニ袋を目の前に、僕は大きく溜息を吐いた。
その中からふるふると顔を出したのは、先程の泥団子犬。
やはり弱っているのだろうか。今の所、少しも声を出そうとはしない。
おかげで、誰にも感づかれる事は無かったが。
「取り敢えず風呂だな。この泥を落とさない限りは何も始まらない」
僕は泥団子犬をコンビニ袋ごと持ち上げ、そのまま風呂場へと持ち込んだ。
ある程度の泥は外で払って来たが、細かいものはその産毛にまだびっしりとこびり付いている。
「うーん、一旦お湯に浸けてふやかしてみるか」
そっと子犬を抱き上げ、お湯を張った桶の中へと入れてやる。
緊張の為だろう。最初はガチガチに固まっていた子犬だが、お湯の温かさに身も心も解されのか、ゆるゆる桶の中へとその身を沈めて行った。
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