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「な、何だ?」
見ると桶から出た子犬が、ぶるぶると体を震わせ飛沫を飛ばしている。
「きゃん!」
突然発せられた子犬の甲高い声に、僕は慌てた。
「しいっ! 鳴いたらダメだってば! ほら、もう出よう!」
水を得た魚ならぬ、お湯を得た子犬か。
体が温まったせいか、すっかり元気になっていた。
わしゃわしゃと体を拭いて、ドライヤーを当てて乾かしてやる。
子犬は気持ち良さげに「くうぅ」と喉を鳴らした。
「うわ、見違えたなぁ! お前めちゃくちゃ可愛いじゃないか」
完全に乾いた子犬は、まるでふわふわの綿毛のようだった。
これなら飼ってくれる人が現れるかも知れない。
明日にでもそれらしい人に声を掛けてみよう。
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