【給料日のお楽しみ】

1/3
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

【給料日のお楽しみ】

「ああ…。 やっぱり、お風呂は良いなぁ…」 俺は… 湯ぶねに浸かりながら、あまりの心地好さに今更ながら思わず感嘆の声をもらしてしまった。 いやぁ、やっぱりゆったりとお湯に浸かるのは、本当に気持ちの良いものだよなぁ。 日頃の疲れや悩み事が、 湯ぶねのお湯の中に流れて出て行ってしまうような感覚…。 こういうの『デトックス』とか言うんだっけ。 「…よく考えたら… こうして、湯ぶねに浸かるのも実に二ヶ月ぶりかぁ…」 …って!別に二ヶ月もの間、体を洗っていなかったという訳じゃ、全然ないよ(笑) 今の職場に就いてから、約二ヶ月…。 まだ仕事について右も左も分からない新人の俺にとっては、 覚える事がまさに山積み状態。 毎日が勉強の連続なんだ。 そんな訳で、俺は連日、遅い時間まで職場に居残って様々な事を勉強している。 職場の人たちは皆、頼りがいの有る面倒見の良い先輩たちばかりで親身になっていろいろと教えてくれるんだ。 まあ、その結果、 俺が一人暮らしの自分の安アパートにたどり着くのは、いつも深夜近くになってしまうんだよね。 部屋に入って帰宅途中に買ったコンビニの弁当を食べた後は、もうぐったり状態でさ。 本当は、ゆったりと湯ぶねに浸かって疲れを取りたいところなんだけど… とても帰宅してから深夜に浴槽にお湯をはる元気なんて残っていないんだよね。 とっとと寝てしまいたいし、次の日も朝早くから職場に行かなきゃならない。 第一、まだ新人で給料の少ない俺にとっては水道代だってバカにならない。 という訳で、 俺はこの二ヶ月の間、湯ぶねに浸かるなんて事はしないで、 ちゃっちゃとシャワーだけで体をゴシゴシ洗って、ベッドにバタンキューしていたという訳なんだ。 まあ、この二ヶ月の間、 休みも有って、 その日だけは時間を気にせずに、浴槽にお湯をはる事だってできたんだけどさ。 重ねて言うけど、 貧乏社会人の俺にとっては、本当に水道代もバカにならないんだよね(汗) この仕事を始めて、一ヶ月めにもらった初任給…。 決して贅沢な生活ができるような金額じゃなかった。 もちろん、まだ一人前とは言えない新人の俺の初任給の金額は、そんなところだろうな。 だから、この金額に不満は無いんだけどね… と、そう思っていたら…だよ! ついこの間、二ヶ月めにもらった給料の金額が、 予想以上に多かったんだ!
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!