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妖精さんは怪獣に言いました。
「こんなことしちゃダメ。皆、困っちゃうわ。ひとはね、私や貴方と違っておうちがないと生きてゆけないの。だから壊しちゃダメなのよ」
怪獣は首を振りました。
「でも、俺は暴れたい。壊すのが好きなんだ」
「他に好きなことがきっと見つかるわ。だから街を壊したらダメよ。人間が困っちゃう。そしたら、正義の味方が来てあなたをやっつけちゃうわ」
「やっつけられなかったじゃないか」
「今日はね。でも、正義の味方って段々強くなるのよ。いつか倒されちゃうわ。ね、そんなの嫌でしょう」
「その前に正義の味方を倒す」
「正義の味方にはたくさんの仲間がいるのよ。ピンク、ブルー、イエロー、ブラック」
「うーん」
怪獣は悩みました。今回は傷で済みましたが、確かに大人数できたらしっぽぐらいは持ってかれるかもしれません。
「まず、壊してごめんねって正義の味方に言うの。そしたら、ほかに好きなものを探す旅に出ましょう」
「ひとりで行くのは嫌だ。つまらない」
「私も一緒に行くわ。お弁当持って」
「お弁当持ってきてくれるの? 中身はなに?」
「卵焼きとエビフライとポテトサラダとおにぎり」
「じゃあ、謝りに行くよ。許してくれるかな」
「私も一緒に行くわ」
怪獣と妖精は手をつなぐと正義の味方のおうちに行きました。
「怪獣じゃないか」
正義の味方は警戒する様子もなく言いました。
「どうしたの? 街も壊さずに偉いな」
「謝りに来た。街を壊したこと」
「俺はいいよ。家を壊されてないし、役目だから。街のひとたちに謝りに行こう」
「許してくれるかな」
「お花を持っていきましょう。それからお手伝いもするの」
「わかった」
怪獣は正義の味方と妖精と一緒に花を摘んで皆に謝りに行きました。
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