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楽しそうに会話する二人をみて、胸がぎゅうっと苦しくなる。
侑己……年上にも人気あるんだ。
あんなに笑ったりするんだ。
知らなかった。
私、本当に侑己のこと何にも知らないんだな。
こんなに近くにいるのに。
……考えてみたら。
侑己はいつだって私の隣にいてくれて。
私のくだらない妄想や、愚痴や自慢話を、拒絶することなく聞いてくれて。
助けが欲しいときには、いつだって手を差し伸べてくれて。
それが当たり前になっていて。
でも、じゃあ、
私は侑己に何をしてあげていた?
侑己の何をわかっていた?
侑己のことをちゃんと考えてあげれたことは、どれくらいあった?
侑己の気持ちや侑己の思いを、尊重してあげれたことはどれくらいあった?
……思えば、私は「私」を、侑己に押し付けていただけだった。
侑己のことを考え、受け入れたことなんて、今までなかった。
昨日、初めてだ。
ーー右手、束縛していい?
侑己が私に、意思を伝えてくれたのは。
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