第六章

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「あっあの、そ……」 「俺の話を聞いてもらってもいい?」 慌てながら「そろそろ帰ろう」と続けようとした祐一郎の言葉を圭介が遮る。 「う……うん」 途中で口を噤んでしまった祐一郎は、帰るとは言えずに圭介の言葉を待った。 「俺さ……」 川面を見ながら、言葉に詰まる圭介が珍しくて、祐一郎はその横顔を見上げた。祐一郎の視線を感じたのか、少しの間をおいて、圭介もこちらを向く。真剣な表情だった。 「祐子ちゃんが好きだ」 「え……」 少し硬い、照れたような困ったような笑顔の圭介に、祐一郎は自分が今どんな表情でいればいいのかわからない。脈がどんどん速くなり、体が熱くなってくる。 「すっ、好きって、どういう意味……?」 かろうじて出た声は少し上ずってしまった。 ――友達としてだと言ってくれ。そうでないと……。 「バレバレだと思ってたんだけどな」 照れくさそうに、頭を掻く圭介に、祐一郎は口が開いたまま止まっていた。驚いた顔で見上げる祐一郎の顔を、圭介が見下ろす。もうそこに照れた様子はなかった。
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