第七章

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その日から、祐一郎は毎日のように拾得物を保管する事務局に出向き、届いていないかを確認した。通い始めて三日ほど経つと、届いたら連絡をするからと追い返されるようになってしまった。それでも祐一郎は、事務局の他に、理系キャンパスと文系キャンパスの学生課にも通い詰めていた。 化石鉱物カフェを出店していた教室にも、何度も探しに行った。同好会のメンバーや広瀬にも聞いたが、誰も見かけた人はいなかった。 ――大事にするって、約束したのに……。 もう、この手に戻ってくることはないのだろうか。考えれば考えるほど、心にぽっかりと開いた穴は、広がるばかりだった。 なぜきちんと鞄に入れておかなかったのだろう。触れていると安心するからと、ダウンのポケットに入れていたのが間違いだったのだ。拾った人が気付くところに、名前と連絡先を書いておけば良かったのかもしれない。コンドライト隕石と明記され、ビニールケースに入ってはいるが、価値のわからない人から見れば、小石がキャンディー缶に入っているだけだ。落とし物だと認識されているかもわからない。捨てられてしまいまい、缶と分別されて、どこかの焼却炉で燃やされてしまった可能性だってある。 ――僕には……もう、あれしかなかったのに……。 失ってしまった。何もかも全て。ずっと大事にしてきたコンドライトのお守りも、思い出の星座図缶も。圭介からもらった想いさえ、全てこの手からこぼれ落ち、消えてなくなってしまった気がした。 落とした日から一週間以上が経っても、見つかることはなかった。
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