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一日も忘れたことはない、あの寒い雪の日。祐一郎の前に、突然現れたヒーローのような存在。大切なお守り。
いつも肌身はなさず持っているそれを、ポケットから取り出して手のひらに乗せると、「大丈夫」と言われている気がした。これを持っていると、少しだけ自分に自信が持てるのだ。
「あ、祐ちゃんてば、またそれ眺めてる! その袋だけじゃなくて、何か保護ケースに入れておいた方がいいよ。」
「そうなんだけど……、ちょうど良いものが見つからなくて……。あっ!」
突然、ドンッという衝撃で、後ろによろけそうになる。細い沿道で、手に持っていたお守りに気を取られていたせいだ。向かいから歩いてきた人にぶつかってしまったらしい。
「ご……ごめんなさい」
咄嗟に謝り、ぶつかった瞬間、落としてしまったバッグとお守りを拾おうとすると、相手が拾い上げてくれた。
「すみません、ありがとうございます……」
バッグを受け取ろうと手を差し出すが、なぜか手元を見たまま固まって動かない相手の顔を、そっと伺い見る。
「えっ……」
その瞬間、祐一郎は言葉を失った。
すらりとした長身、少し垂れ目の綺麗なアーモンド形が印象的な瞳。一度見たら忘れることができない、好青年を絵に描いたような華やかで端正な顔立ち。
――――まさか……。
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