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「ほんとだ! めちゃめちゃかわいいじゃん」
「俺、この子なら付き合える」
「俺も!」
「実は、そのままの日野でも充分かわいいけどな」
「ああ……正直、日野は男子だけど理学部女子の中で一番かわいいかも」
「確かに!」
勝手に盛り上がる面々に、祐一郎は萎縮する。近くに座る圭介も大声で盛り上がる彼らの話は聞こえているはずだ。一体どんな表情で話を聞いているのか、見るのが怖くて視線をむけることができない。すると突然、左隣に座ったほろ酔いの男子学生が肩に腕を回してきた。
「日野~~、飲んでる? このホットワイン美味いよ~」
顔見知りの男子学生だったが、馴れ馴れしさと距離の近さに、祐一郎はさり気なく顔を遠ざける。
「え、あ……うん……」
お酒が苦手な祐一郎は、ずっとホットコーヒーやホットティーを飲んでいた。それを見ていたのだろう、男子学生がホットワインを勧めてくる。
「ほら、飲めって! 体温まるぞ」
盛り上がる中、ここで断っては申し訳ない気がして、紙コップに手を伸ばした。下戸のため、お酒を飲むのはかなり久しぶりだ。少し飲むくらいなら大丈夫だろうか。
「え……っ」
祐一郎よりも先に紙コップを受け取ったのは、圭介だった。並々と注がれたホットワインを、一気に飲み干す。時間が経って温くなっていたのか、熱そうな様子はない。「飲んだよ」と言うと、空の紙コップを手のひらでくしゃりを潰す。
「日野、お酒は飲めないだろ。ちゃんと断れよ」
初めて見る、怒ったような表情の圭介。吐き捨てるようにそう言うと、祐一郎の腕を掴んで立ち上がった。
「そろそろ帰ろう」
近くにいた面々は、突然の圭介の行動に驚いていたが、圭介は意にも介さず、祐一郎の腕を引いて観測会の会場を後にした。
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