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私は、いつもの痴呆が始まったと右から左へと流した。そんな父親には頭が上がらないのか、夫は頭ごなしに舅をボケと叱らなかった。しかし影では父親のことをボロクソに言っているのにこの態度の差がおかしかった。
食事を済ませて舅は部屋へ戻った。夫は出勤した。子供も学校へ行った。私もパートに出た。舅だけの家はいっぺんに広くなった。掃除ロボットや洗濯機・食器洗い機が活躍する午前は瞬く間に過ぎていく。
私の料理にケチをつける舅は一人で食事をする。冷蔵庫から私が作った昨日の残りを取り出して食べる男である。男子厨房に入らずと母親から躾けられた男は、生涯変わることがない。寧ろ、どんどん固くなっていく脳は時代の流れについて行けず、私に八つ当たりしてくる。
上司から舅とパワーハラスメントをする男が代わっただけで、私はずっといじめられてばかりいる。男尊女卑の時代に生まれた男ほど付ける薬がない。
夜になり、夫以外はテーブルで晩ごはんを食べる。後は食器洗い機に任せて、夜ドラを見てから寝た。いつ帰ってくるかわからない夫を待ってると明日の朝には起きられない。
次の日の朝も昨日の残りを電子レンジに入れて、温まったらテーブルの上に並べる。また舅のイヤミを聞かされながら食事を済ませると後は機械に任せてパートに出るのである。
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