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「嫌? だったら、鼻毛か眉毛。  それが無いなら面倒だけど採血か細胞片の採取でも良いけど」 「そうじゃなくて、そんなものをどうするんだ?」 「DNAのサンプルを採るんだけど、あれ? 平成の頃にはDNA調査って一般化していたんじゃないの? やったことない?」 「俺はやったこと無いな」 「ふーん。平成ってもう、みんなDNAサンプルの登録をしている時代だって聞いていたけど、聞くのと見るのって大違いね。  ……良いわ。私の時代ではDNAごとの完全解読ができていて、そこから薬や色々な物が作れるの。  それで必要なモザイクパターンを探していたんだけど、それを調べたら、あなたらしい、っていうことが分かったの」 「そんなことが分かるのか?」 「子孫のリボソームから親のDNAがわかるの。そのシステムで、どうやらあなたがこのDNAを持っているって分かったのよ」 「つまり、俺の遺伝子から……何か、薬とかが作れるってことか? なんで俺が?」 「雄平は優れたDNA特性を持っていたんだけど、子供を作らなかったのよ。それで一代限り……だけど」  話しをしながら、彼女は背伸びすることも無く、空に浮かんで雄平の頭頂部付近から一本、ピンっと抜いた。  痛いことは痛いが、身体の内部から削られるような心の鈍痛に比べれば、天秤に乗せることもできないような些末な苦痛。  その一本さっきの薬が入っていた物に似たケースに入れた。  それだけでマリアは幼さを瑞々しいまでに尻から爪先まで込めて爆発させ、飛び跳ねる。 「うん! 雄平からは人類外免疫非存在の殺人ウイルスが作れる!」  ……ん? 「どういう、こと、だ?」 「だから、人類外免疫非存在の殺人ウイルス! あなたのウイルスで敵星を皆殺しにできるわ!」 「話が……わからん」 「だから最初に説明するって云ったのに。  あのね。私たちの時代は人類ほとんどの病気で死なないから、人口がすごく多いの。
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