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 で、住むところを求めて宇宙まで進出してて、地球や火星、木星じゃ資源が足りないの。  それで他の星にまで行って、そこを開発して資源を使って、人類は更なる発展を遂げてるんだけど、最近は宇宙中を開発しすぎて、それなりの知性を持った生命体の居る星しか残ってなくって。  その星の支配生物を壊滅させるのに兵器が必要なんだけど、人類が棲めなくなるような兵器は使えないじゃない?  それで、人類には影響を与えない兵器が欲しくって、あなたに白羽の矢が立ったの!」  ――外来種っ!――  このマリアの時代の人類は、宇宙へと向かう外来種なのだと雄平はこの段になって初めて理解した。  外来種とは、本来の生息域から離れて、別の地域に広がる種族  在来種はその環境の中で循環できる程度の力しかないが、その絶妙なパワーバランスを崩す力を持つ外来種が広がる現象が、現代の地球でも数多く起きている。  例えば、毎日ふたつ実を付ける弱い木が生えている島に、毎日ひとつだけ実を付ける強い木が上陸する。  強い外来種の木は、弱い外来種の木の生息域を奪っていき栄えるが、強い木は弱い木より少ない実しか付けない。  それを食べていた動物が減り、絶滅してしまうこともあるだろう。  その実を食べて種を広める動物が居なくなれば、栄えたはずの強い木自身も絶えてしまう。  自然は長い間の絶滅と繁栄を繰り返して、それが循環するような生態系を整えたが、不用意な人類の移動でその環境が次々に破壊され、絶滅に追い込まれている。  現代の地球内で起きている大量絶滅。  それと同じ現象を、マリアの時代では宇宙規模の破壊活動として広がっているというのだ。  宇宙史上最強最悪の外来種、人類(ホモサピエンス)の手によって、荒らされているというのだ。 「そんなことに、俺の細胞を使おうとしているのか!?」 「そんなことって……契約書には書いてたじゃないですか。私も説明しようとしたよ? それをどんな条件でも良いから、って云ったのはあなたでしょ?」 「それは……そうだが……!」
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